「新社会兵庫」 7月26日号
 実に感動的な勝利だった。なでしこジャパンの女子サッカーW杯優勝の快挙に心から大きな拍手を贈った。驚異的な集中力と最後まであきらめないねばり強さ。世界の人々には奇跡と映ったことだろう。ひとつの目標に向かって心をひとつにして立ち向かう選手たちの姿は、これぞ「絆」による結びつきなんだと素人目にもよく伝わった。「被災地に希望を与えた」という表現も素直に受け入れたい▼澤穂希選手をはじめ、なでしこジャパンの選手の中には神戸のチームに所属する選手が多いが、因みに日本の女子サッカー誕生の地は神戸だそうで、1966年に灘区の福住小学校に最初の女子チームがつくられた。福住小校区の住人としてはにんまりしたくなる話だ▼ここから政治の話へとはどうにも無粋だが、被災地の苦しみにも、原発問題にも、心をひとつにして向き合えない政権とは何だろう。菅首相の「脱原発」表明も、同じ政権中枢から「あくまで首相の個人的な見解」とすぐさま否定されてしまった。国のあり方に関わる最重要問題をめぐり明らかに政権内不一致があってもなおその政権が存続する日本の政治状況も、世界からは理解しがたい「奇跡」に映っているのかもしれない。
市会議場の日の丸掲揚は「当然」か?/神戸市議会
 「都市の空気は自由にする」とのドイツの格言があるが、どうも「不自由都市 神戸」になりつつあるのではないかと案じさせる、うっとうしい問題が起きている。改選議会初日の6月13日、神戸市会の議場に日の丸が掲揚された。いかにも場違いの日の丸は、市民の目に、どのように映っただろうか?
 ちなみに、朝日新聞(6月23日、29日)によれば、このたびの掲揚は、122年の市議会の歴史で初めてとのこと。19政令指定都市のうち、川崎市、広島市は掲揚していない。
 このところ、大阪府における君が代強制条例や、一連の最高裁判決など、憲法あってなきがごとしの恣意・専横がまかり通っている。本来、最も自由闊達な議論が保障されるべき議会において、<内心の自由>が侵害されるとすれば、それはもはや議会ではありえない。
 なぜ今、日の丸なのか?神戸市会における日の丸掲揚の事態がどんな意味を持つのか、考えてみたい。
経緯と手続き上の問題
 日の丸掲揚の動きがあることを知ったのは、2009年6月、長田区の市民から「国旗掲揚を求める陳情」が市議会に出されたのが契機である。反対陳情3件も相次いで出されたが、総務財政委員会は「本来、議会内部に関することは議会が自主的に決めるべき」等の理由から、「審査打切り」とした。
 それが急浮上したのは、今年2月9日の議会運営委員会(議運)理事会で民主、自民、公明、自民神戸の4会派が「掲揚を求める根強い市民の声がある」と提案。3月11日の議運で採決、可決した。
 しかし、いかにも正当な手順を踏んで行われたようだが、この議運なるものには大きな疑問がある。構成は、交渉会派(5人以上)のみで、小会派はオブザーバー参加で議決権はない。一般市民の傍聴は認められず、マスコミのみ。それにもまして問題なのは、「議会の運営に関する」事項を取り扱うとされた議運において、国旗掲揚問題が可決されたことである。果たして、国旗掲揚問題は「議会の運営に関する」事項なのだろうか?ここには、大会派がなりふり構わず恣意的に、数の暴力で押し切る議会運営の実態があらわである。それにしても、「開かれた議会」などとよく言えたものだ。議運の改革が求められる。
請願署名運動
 何とかまとまった反対の市民意見を公的に表明しておかなければ、「掲揚を求める根強い市民の声がある」を黙認してしまうことになる。幸い、小谷美智子(神戸YWCA)、佐藤三郎(憲法の改悪に反対する元教職員ひょうごネットワーク)、飛田雄一(神戸学生青年センター)3氏の了解が得られ、それに中田作成を加えた4名を呼びかけ人とする請願署名運動に着手した(団体署名)。
 6月中旬までに、42団体の賛同署名が得られたことは、大きな収穫だった(うち10団体は市外)。改めて御礼を申し上げたい。
市会常任委員会審査
 6月29日の総務財政委員会における審査は、異例の変則的審査だった。通例は当該部局が出席して、議員が質疑する形式になるが、今回は議会自らの行為が対象であるため、当局の出席はない。どのような審議形式になるのか、注目されていたが、実質的な質疑は行われず、請願に対する意見決定に入り、各会派から請願に対する意見(採択・不採択)が一方的に表明されるという審査?であった。
 「日本国民として国旗の掲揚は当然」「国旗の存在が思想を束縛するものではない」……採決の結果、請願の採択に賛成は共産のみで(新社会は本委員会に委員なし)、不採決となった。
 だが、当局の出席はなくとも、議員同士で質疑を行うことはできたはずで、このような質疑抜きの一方的な意見決定は無効であるとして、終了後、抗議書を提出した。
日の丸請願問題の示すもの
 国旗掲揚問題は、なぜ今急浮上したのか?これまでの経緯の示すとおり、本来の該当委員会ではないはずの議運で強行可決した経緯は、「力こそ正義」の「力の論理」を感じさせ、もはや議会政治の常道を逸脱している。「掲揚は当然」と異論を排し、決め付ける姿勢は「議会ファシズム」の到来を感じさせる。
 しかし、このような情勢の中で、少数政党の存在意義は逆に高まっている。多数会派にうるさがられる存在こそ、貴重なのではないか。
中田 作成(なかたなりしげ・請願代表者)
尊厳を打ち砕く社会
 昨年、同じ会社の東京営業の1人の女性(38歳?)が辞めました。彼女は入社当初から仕事もよくでき、単なるアシスタント業務から商社向けのPRのための資料を作成しプレゼンもこなします。また、輸出担当で英語もでき、中国にも行ったり、何カ月もかかって膨大な事務指導表を作成したりと、どこそこの息子というボンクラの総合職よりは一生懸命仕事をしてきたし、それを形としても残してきました。
 彼女は4年くらい前、「私、東京営業で子どもを産んで働く女性第1号になります…」と喜んで報告してきてくれました。それから彼女は、産前8週間、産後は育児休暇8カ月とって職場に戻りましたが、戻った職場で目の当たりにしたのは、彼女が休んでいる間の彼女の代わりの派遣の女性のほかに中途採用で採用された総合職の若手男性社員がいて、その彼に対しては、一般職で入社した彼女にはなかった手厚い教育機会と、営業担当の証しである原価計算から販売単価までの教育がされていたことです。15、6年経っても「一般事務」扱いで、評価されない現実を目の当たりにしたのです。実力ではなく、学歴や縁故等、どのランクで入社したかだけで賃金・処遇に最後まで差をつけるシステムが貫徹されている典型的な会社です。
 いかに安い人件費の会社かと、彼女自身分かっていましたが、仕事は好きだし、他の男性社員に負けないくらい、いえ、それ以上仕事してきたし、上司とも仲よくできて、上司も仕事のできる彼女をちやほやしてきただけに、彼女の怒りと落胆は決定的なものでした。そして、彼女は辞めていきました。
 悔しい思いをしながら働いている人は、社員だけではなく、何十年もパートや派遣で働いている方々など、たくさんいます。最近の傾向ですが、総合職は裁量労働制で働いているとはいっても、昔とは違い、しっかりお休みもとる、サービス残業も適当なところでと、ドライな総合職も多く、労務管理・低賃金・雇い止めの恐怖で苦しめられているパート・派遣の方や給料の上がらない末端社員が同じフロアーでひしめく中、社員間に大きな壁・軋轢ができ、怒りの矛先が働く仲間同士になっています。
 私自身、勤続35年、結婚による嫌がらせで差別を受けたり、転勤や子会社への出向を言われたりした際には、色々と会社にたてついてきましたが、仕事については、いつも一生懸命でした。辞めていった彼女たちも誇りをもって仕事をやりたいと、一人の労働者として当たり前の意識だったと思います。男性・女性にかかわらず、労働者にはちゃんと仕事がしたいという当たり前の尊厳があります。今は、それを根こそぎ打ち砕く社会だけですよね。私自身は、この会社で仕事にプライドを持たず、生活する賃金をもらうために働くだけと割り切り、いつも悔しさを押し殺してきたように思います。そうしないと働き続けられなかったと思います。何かが間違っていますよね。
(M・H)
兵庫県労委不当な命令
 川崎重工業は、09年秋に大量の派遣切りを行った。派遣会社丸久工業も川崎重工業に派遣していた労働者約80人中60人の契約が打ち切られることになった。その結果、60人程度の労働者が解雇された。解雇された労働者の中で13人が武庫川ユニオンに加入し、丸久工業と川崎重工業に団体交渉を申し入れた。
 しかし、川崎重工業は、雇用関係がないと団体交渉を拒否。武庫川ユニオンは、川崎重工業は労働組合法上の使用者であると10年3月、兵庫県労働委員会に団体交渉拒否は労働組合法第7条に違反すると救済申立を行なった。そして、11年6月、兵庫県労委は「申立を棄却する」との命令を出した。
 兵庫県労委は、組合員の中で2人は派遣制限期間を超えているが、他のものは実質的に派遣とは言えない。また、派遣制限期間を超えているが、派遣元から抵触日の通知を受けていないので川崎重工業に直接雇用申し入れ義務は発生していないとした。また、直接雇用の申込義務がないことだけで将来、雇用関係の成立の可能性がないとは言えないとし、しかし、川崎重工業の操業度が落ち込んでいるので雇用関係の成立する可能性はなかったと断定し、従って団体交渉に応じる義務はないと命令した。
 兵庫県労委の命令は、結局、川崎重工業の操業が落ち込んでいるので、組合員たちを雇用する可能性がないから、直接雇用を求める団体交渉に応じる義務はないと判断している。労働委員会がそこまで判断してよいのか。雇用の場があるのかないのかを含め、団体交渉で話し合い、解決策を見いだせば良いはずだ。兵庫県労委は、操業が落ち込んだことにより派遣や請負契約を打ち切った派遣会社は解雇された労働者が団体交渉の申し入れがあっても団体交渉には応じる必要はないと判断したことになる。派遣など間接雇用が増大している今日の情勢の中で兵庫県労委の命令を受け入れることはできない。
 今後の闘いに注目と支援をお願いしたい。
小西純一郎(武庫川ユニオン書記長)