「新社会兵庫」 5月24日号
 「自衛隊はすごいなあ」。東日本大震災に出動した自衛隊の仕事ぶりを見ての率直な感想である。この集団が戦争ごっこをやめて、災害の救援復旧活動に専念したら、どんなに心強いことだろう▼悲惨という言葉では表わせないほどの結果をもたらした今回の大災害は、さまざまに戦争の惨禍と重なる。阪神大震災の長田もそうであったが、津波になめ尽くされた惨状は、空襲の焼野原を思い起こさせる。「ただちに健康に影響がでるほどではない」と伝達される情報は、「わが軍の損害は僅少」と知らされたことが、敗戦になってみれば壊滅的だった大本営発表を彷彿させる▼阪神大震災では、水脈子もポリタンクをもって自衛隊の給水を受けたが、給水車が意外に小さかったのを覚えている。あとで聞いたところによると、それは戦闘中の部隊に給水するのが本来の目的であるから当然だということだった▼「トモダチ作戦」という名で展開された米海軍の救援活動は、非核神戸方式を理由に阪神の場合はなかった。また、今回米国はスタッフの官邸常駐を求めたという。放射能に関する最新、最高の情報を求めたのであろう▼正真正銘の防災活動には、ベースに戦争反対、護憲が必要ということだろう。
高齢シングル女性の財産管理
 コミック本『ヘルプマン』最新号は、これから増えるであろうシングル女性の老後の生き方や介護の問題を扱っている。
 登場人物、理恵と玲子はビミョーな年代64歳シングルの親友同士。ただし性格は真逆で、結婚に失敗したため、きちんと生活設計を考えて実行してきた実直な理恵に対し、玲子は派手で遊びとお酒が大好きなデザイナー。まさにアリとキリギリスの2人だ。事の発端は、古い賃貸アパートの建て替えのため、玲子が追い出されてしまい、住み替え場所を探すものの「高齢シングル女性」に貸そうという不動産屋は無く、好きなように生きてきたキリギリスが厳しい現実にぶち当たってしまうことから始まる。
 結局、自分でマンションを買って住んでいる理恵に泣きつこうとした矢先、理恵が脳出血で倒れ入院してしまう。地域の民生委員から連絡を受け、取り乱す玲子は「万一の時に」という理恵の手紙とマンションの鍵を渡されたのだ。そこには「部屋の中にあるノートに書いてあるライフプランが実現できるようにサポート態勢を整えてほしい」と書いてあった。そして見つけたノートには葬儀や遺品の始末を予め依頼してある業者の連絡先から財産管理を依頼している行政書士の任意後見人、介護を相談する社会福祉協議会の連絡先などがきれいに整理されてあった。その日暮らし精神の玲子は驚くが、理恵が厭世的になり、実家に連れて帰られそうになるのを引き留め、本当に理恵が望んでいた生活が出来るように奮闘する。そこには「年老いた」というだけで自分の生きたいように生きていけない現実がリアルに描かれている。でも、知識と日頃の人間関係があれば、それが可能なことも示している。それは「最期まで自宅で」であったり、望むホスピスであったりする。
 先日、あるシングルの高齢女性の付き添いで、三宮にある神戸市成年後見支援センターに相談に行った。84歳の彼女は仕事や趣味に、経済的にも立派にシングルを生きてこられた人だが、さすがに最近物忘れが出てきて、カードの暗証番号を忘れたり、お金の管理が難しくなってきたのだ。対応して下さった方は丁寧だったが、結局、パンフレットを渡され、記載されている関係機関に電話して相談せよ、ということだった。そこには前述の「任意成年後見人」という文字もあった。帰宅後、パンフにある弁護士会の「高齢者・障害者権利擁護なんでも110番」だの「日本司法支援センター法テラス兵庫」だのに電話をかけ、たらい回しにされた挙げ句、面談での相談が30分で5千円かかる所に行かなければラチがあかないことが分かった。こんな面倒なことを高齢者本人ができるわけがない。初めに出向いた市の無料相談では「認知症が進んだら法定成年後見人制度が受けられますから」と言われたけど、それにも月額約1〜3万円の費用が必要だし、判断能力が無くなった時に、誰がどうやって手続きをするのか?お金のことはトラブルの元になるから介護関係者は誰も関わりたくない。お金の無いシングル女性はどうすればよいのか?自分の年金すら引き出せなくなってしまうのか?
 市民の命と財産を守る義務のあるのはいったいどこなんだろう?
(K)
震災復興とユニオン運動
 労働大学近畿支局と労働大学まなぶ友の会兵庫県協議会の共催による今年の「新春旗開き」でひょうごユニオン委員長の小西純一郎氏が「ユニオン運動と学習」と題した講演を行った。
 小西氏の所属する武庫川ユニオンは、結成から23年目を迎え、450人の組織に発展してきているが、飛躍をみたのは、1995年の阪神淡路大震災の時だったという。
 この時、職を失うなどの労働問題で、半年で2千件もの相談があり、雇用保険の遡及加入などについて労働省(現厚生労働省)とも交渉し、遡及加入の簡素化や雇用調整金などの成果を勝ち取り、それが今日の兵庫県の地域ユニオン運動の基盤となっている。
 姫路ユニオンは1998年に結成した。諸先輩方の血のにじむような運動の延長線上にその結成があったと知ったのは、結成した後のことだった。
 天変地異はその地域の住民全体に打撃を与え、日ごろ懸念されていた行政の欠陥が牙を剥く。しかし、その復興が労働者や市民の犠牲の上に行われることがあってはならない。東日本大震災では、やはり失業問題が大きな問題を占め、支援物資やボランティア配置についても混乱を生じているようだ。
 また、この大震災に関連して、福島の原発災害が深刻であり、今も予断を許さない。しかし、原発の災害は以前から想定されたことであり、東電資本や政府による全くの人災である。これに対して、政府は許容放射線量の基準を引上げるなどして対処しようとしているが、とんでもない話だ。放射線はたとえわずかであっても人体に影響を与える。許容基準を引上げることは、死ねということに等しい。
 原発は若狭湾にも林立し、浜岡原発と同様、活断層の上にある。ひとたび福島のような事故が起これば、ただちに琵琶湖が汚染され、京阪神の生活はストップする。
 東電労働者とも連携をとり、労働者や市民主導の復興を目指すとともに、反原発の声を高めよう
森山容光(姫路ユニオン委員長)