「新社会兵庫」 3月22日号
 悪夢としか言えないような大惨事が現実に起こった。つぎつぎとテレビに映し出される被災地の惨状に、被災者の姿に、言葉がない。ただただ胸を締め付けられる思いだ。地震発生から4日が過ぎたが、日ごとに増えていく犠牲者数。被害の全容はまだ明らかにならない。大きな余震がひっきりなしに続き、まだ最大余震の危険も消えていない▼そこに加わった福島第一原発の危機的な事態。号機ごとにつぎつぎと危険な状況が「小出し」に明らかにされ、大きな不安を与えている。とにかく最悪の事態が回避されることを心から祈る。と同時に、反対の声を押し切って原発を推進してきた電力会社とこれまでの政治に、そして、情報管理と開示のあり方に強い怒りと愚かさを感じる▼まだ救助活動が難航し、今なお多くが交通や通信手段を断たれたなかで避難生活を送っている被災者を思うにつけ、阪神大震災での経験を思い起こす。被災地は、救援物資も「暖」も乏しそうで、夜の冷え込みは想像以上に厳しいだろう。私たちは阪神大震災ではどれほど多くの人びとの「助け合い」に救われ、励まされたことか。今、私たちにできること―。改めて「助け合い」の絆を幾重にもつくっていくことだ。
統一自治体選
全員の勝利へ力をつくして闘い抜こう
 統一自治体選挙が本番を迎える。新社会党にとっては、1人の取りこぼしも許されないたたかいである。この4年の間に築いてきた人々や組織との絆を生かして勝ちぬかなければならないと決意している。
 ところで、地域住民の現状はどうなっているのだろうか。その特徴は、貧困の深化であり、少子高齢化の進行、地域コミュニティの崩壊などに端的に現れている。日々のニュースのなかで、家族間の殺人や育児放棄、心中、孤独死など痛ましい事件が相次いでいることや就学援助を必要とする児童が増えていることに、人々の生活の困窮度が強まっていることを見てとることができる。わが党議員への相談でも、自己破産や生活保護申請などに関する問い合わせが急増している。また、昨年来の高齢者の「所在不明」問題は、行政組織の弱体化と地域コミュニティが機能不全に陥っていることを白日の下にさらした。
 住民のくらしにもっとも近いところに存在するのが自治体であり、住民の置かれている現状にいちばん敏感でなければならないのが自治体である。その自治体が今、たいへん危機的な状況下にある。
 自治体は本来、くらしと人権・平和の砦としての役割があるが、現在ではほとんどその役割を果たすことができなくなっている。「住民福祉の増進」という本来的な責務は横に置かれ、受益者負担増と住民サービスの切り捨てが強引にすすめられており、職員の非正規への置き換えも急速にすすんでいる。小泉政権以降の構造改革・規制緩和の積み重ねのなかで、民間活力の導入=民間委託化・指定管理者制度の導入をおしすすめ、大量の「官製ワーキングプア」を生み出している。それはまさに採算性の優先と行政の株式会社化であり、住民の基本的人権否定につながるものである。たとえて言えば、自治体における「官製ワーキングプア」を考えたとき、低賃金で不安定雇用の自治体職員は、自らが貧困化していながら、地域の貧困問題に取り組まなければならないという構図が浮かび上がってくる。これでは貧困対策はじめ、あらゆる分野の公務労働に意欲と余裕を持って携わることはできない。
 貧困問題や少子高齢化の進行を考えたとき、介護や保育施設の拡充など、行政機能の強化は避けて通れないのであり、財政や人員の削減ではなく、公務に就く労働者の増員と待遇改善こそが必要であり、これを私たちの主張としなければならない。
 けれども、今後さらに財政削減とともに自治体の広域化=道州制の導入が目論まれており、これでは、住民主体の町づくりなど夢物語同然となるし、自治体における労働者の闘いや組織も壊滅的な打撃を被ることは誰の目にも明らかである。したがって、これからいっそう強まるであろう公務員攻撃・労働運動つぶしに抗して働くものの権利を守っていくためにも、労働者の側に立つ議員の確保は欠くことのできない条件となる。
 また、今回の統一自体選挙で注視すべきは、一部首長による反動的な言動である。庶民感情を利用した議員や職員の厚遇批判を繰り広げて、議会と公務員への不信感を煽り、聖域なき行政改革へと突き進もうという動きが顕著になっていることだ。大阪の橋下知事や名古屋の河村市長などがその典型で、統一選では自らを代表とする「大阪維新の会」や「減税日本」といった地域政党を立ち上げ、抵抗勢力を一掃すると豪語している。自治体議会で自らの意のままになる圧倒的多数の議員集団を確保し、国政と同じ議院内閣制を模した一元支配を行おうとするものだ。新社会党はこうした民主主義否定とファッショ的な動きの対極に位置しているのであり、自前の議員を有することで市民参加と情報公開を柱とする「議会基本条例」の制定をめざすことなど、市民が主人公となる議会改革の推進力になることができる。
 自前の議員の確保は、これからの新社会党および護憲の勢力の政治的な活動の基盤となる。選挙本番を迎え、公認・推薦10人全員の勝利を勝ち取るためにともに奮闘するよう訴える。力を尽くして闘い抜きましょう。
鍋島浩一(新社会党兵庫県本部書記長)
(3月10日記)
「女のカネ」問題とは
 朝のテレビ番組、その日の特集テーマは「女のカネ」だった。「ながら見」ゆえ正確ではないが、その内容はこんなものだったように思う。ある日突然始まる親の介護は労力だけでなく、その経済的負担は想像以上に大きい。入院治療、介護施設の利用など月に10万、15万とかかることも少なくない。親自身の貯蓄や年金が少なければ家族が負担しなければならない。高齢女性は年金額も少ない人が多いうえ、介護する側の女性に潤沢な収入がある人は限られている。まして、介護のために退職すればたちまち収入が途絶えるだけでなく、自身の高齢期の生活を支えるべき年金額の減少、あるいは年金権さえ不安定にしかねない。その準備はできているか?親の財産を知っているか?早めに調べておこうというものだった。
 同じ頃、国会では国民年金第3号被保険者が夫の退職などで資格を失った後も届け出ず、保険料を納めていないことへの救済策「運用3号(すでに受給している人は保険料を払ったものとみなし、現役世代は直近2年分の納付でそれ以前の未払いは帳消し)」をめぐって不公平な策だと批判が集中していた。
 女性も一人の人間として働き続けたいと皆で勉強した40年前。当時も親の介護負担は女性たちの大きな問題だった。公務員として正規雇用で働く女性たちでさえ、同期採用の男性との賃金格差は大きく、定年退職時には100対50。それは退職金や年金額に比例した。その上、女が家族介護をするのは当たり前と、仕事を辞めて介護に専念するよう求められる人も多くいた。
 それに対し、私たちは賃金格差のしくみを壊そうと女性の管理職への道を開き、かつ、管理職も生休や年休をとれるよう運動した。男女に介護休暇の新設を要求した。退職金や年金の差は、現役時代の賃金を公平にしなければ解決しないと改善を求め続けてきた。
 そして今、問題は当時のまま、いやもっと後退している。男女だけでなく、女性間に複雑に格差をつくり損得勘定に走らせる。課題を前にして孤立感をさらに深め、乗り越えるべき課題が実は自分だけでなく共通していることに気づかぬまま、諦めるかよりましな人への羨望と苛立ちに身を置いている。テレビやネットの情報で自分と同じような人がいると知って気持ちが楽になることもあろう。しかし、共に乗り越えようと励まし合える仲間と目標は人を強くする。
 「今の若い人はなんて甘い考えと思ってきたが、自分たちが苦しんできた働く上での問題を『同じように苦しんだらよい』とは言えない。自分の子どもたちが働く時代のためにも」。―かつて先輩がしみじみ語った一言が、今こそ大事にされる必要があると思えてならない。
(O)
ユニオン・ショップ協定で解雇
 Kタクシーの運転手から12月中旬、「ユニオンショップ協定の会社で働いているが、労働組合が会社寄りなので労働組合を辞めたい。辞めたら解雇されるが、労働組合に加入していれば、解雇できないと聞いたが本当か」という相談があった。確かに、組合選択の自由は労働者にあり、これまでの判例でも、組合を脱退しても他の労働組合に加入していることで解雇が撤回されている。
 相談者は1月19日、ユニオンに加入し、その日にKタクシー労組に脱退届けを提出、1月23日に解雇された。あまりにも早い会社側の対応に唖然とした。同労組は22日の中央委員会で脱退を承認し、同日、会社に文書で相談者が組合を脱退したことを報告、労働協約に則って解雇するように言ったという。
 労働組合は、労働者の雇用を守ることや労働条件を向上させ働きやすい環境を作るためにある。その組合が会社に解雇を迫るなんて考えられない。
 こんなことに直面するまでは協定をうらやましく思ったこともある。年中、入会と脱退を繰り返し、組合員数が安定せず、資金不足のユニオンにとって、まとまった組合員と組合費は魅力的だ。しかし、組合としての機能が低下することも事実であり、労働者自ら権利を勝ち取る力はつきにくいと思う。
 解雇理由は「ユニオンショップ協定違反」だけなので、裁判では勝つだろう。しかし、労働組合としてはどうなのか。ある交流会で相談者に対し、「あなたは間違っている。労働組合を改革したいなら、その組合を辞めるべきではない。中から改革すべきだ」と言う人がいた。正しいと思った。「イヤだからその組合を脱退した」では、本物の労働組合はできない。解雇されていても仲間を増やし、復職するときには労働者のための労働組合を作ろうとしなければ、本当の勝利ではないと思う。労働組合の意味を問い直し、労働組合を広げる闘いになれば、ユニオンの勝利になると信じたい。
木村文貴子(神戸ワーカーズユニオン書記長)