ひょうごミュージアム

ひょうご描き歩き 『翠明湖(多可郡多可町)』

2020/07/28
 中国道・加西ICから北へ県道24号を多可へ抜ける途中に、30年程前に造られた糀屋ダムによってできた人造湖の翠明湖がある。糀屋ダムは北播磨最大級のロックフィルダムで、他に北端と南に2つの脇ダムをもつ。加古川水系仕出原川を堰き止めて造られた南北に細長い湖で、1周8㌔ほどの周遊道路はハイキング、サイクリング、マラソンなどに最適。毎年3月末には「翠明湖マラソン」で賑わうが、今年はコロナ禍で中止となったことだろう。この周遊路の4㌔に桜の並木が続く。
 湖のほぼ中央に翠大橋が架かり、西詰にある翠公園内の白いターミナルマストが周りの自然と見事に調和している。翠大橋は緩やかで優美なアーチを中央に見せ、雄大な姿を誇っている。
 この翠明湖の西側に、北の林間広場から南の「なか・やちよの森公園」を結んで黒木山(384m)が連なっている。ここの山歩きの醍醐味は翠明湖が終始眺められることで、入り組んだ湖を見下ろせる。
 この翠明湖から南西に2㎞程の八千代町俵田は「ホタルの里」。すっかり暗くなった8時頃からゆらゆらと淡い青色の光が明滅し始め、幽玄の世界がそこに現出する。人間界の大騒ぎに関係なく今年も淡い光を放ちながら頼りなげな舞いが繰り広げられたことだろう。(嶋谷)