ひょうごミュージアム

ひょうご描き歩き『浜坂の味原小径(新温泉町浜坂)』

2020/06/30
 猛威をふるうコロナウイルスの緊急事態宣言が全国で解除されたとはいえ当分は出掛ける気にはならず、紙上でのスケッチ行となる。
 東の丹後半島から辿る山陰海岸ジオパークの西端近く、鳥取との県境に浜坂が位置する。浜坂海岸県民サンビーチの浜坂漁港から出るグラスボートの但馬海岸遊覧船で、浸蝕でできた洞門をくぐったり、奇岩おりなす雄大な断崖を三尾大島辺りまで海から辿る一時間ばかりの遊覧が楽しめる。遊覧船乗場の傍らに「山陰海岸ジオパーク館」があり、このエリアの地形模型、玄武岩、安山岩、凝灰岩などの岩石が展示され、体験学習もできるようになっている。浜坂漁港で水揚げされた鮮魚の並ぶ海岸沿いの海産物魚市場も見て歩くと楽しい。浜坂の市街地を流れる味原川周辺には古い町並みが残る。海の近くの源泉塔の付近から細い川に沿って500mほど、画のように整備された散歩道「味原小径」(あじわらこみち)がある。橋の架かっているあたりが絶好の撮影スポット。川沿いに古い石垣や裏木戸、井戸などが続き歴史と懐かしさを感じさせてくれる。近くには、新田次郎の小説『孤高の人』のモデルとして知られる大正から昭和にかけて活躍した浜坂出身の登山家加藤文太郎の記念図書館がある。近くにこの地の先人を記念した古い酒蔵の「以命亭」もある。(嶋谷)