ひょうごミュージアム

ひょうご描き歩き『旧グッゲンハイム邸 (神戸市垂水区塩屋)』

2020/05/26
山電塩屋駅から5分、北側線路沿いのゆるやかな坂道を東に進み隧道をくぐり先の階段を上がった所に「旧グッゲンハイム邸」がある。英国人ハンセンの設計により100年以上前に建てられ、アメリカ人貿易商グッゲンハイムが使用していた洋館で、その後、何度か所有者が変わり社員寮として使用されもしたが、今も「グッゲンハイム邸」と呼ばれている。
明治初期からこの地の海沿いに鉄道開発が始まり、それに携わった外国人技術者たちが須磨や塩屋周辺の山麓に洋館を建てて住むようになり、山の傾斜地に次々と洋館が建ち並ぶようになったと言われている。昭和に入り、英国人貿易商ジェームズがこの山麓一帯を大規模開発し、外国人専用住宅を建設したが、今はほとんど残っていなくて現存するのはわずか。旧グッゲンハイム邸も解体の危機に遭ったが、地域の財産としてこの歴史的洋館を残そうと、塩屋在住のステンドグラス作家森本親子が私財をなげうって購入して解体の危機から救い、今も管理している。
今はコンサートや結婚パーティなどで利用されており、毎月第3木曜日に一般公開されている。建物は明るいコロニアル風で、ブルーグリーンの外装が海と空の青とよく調和している。かつての塩の生産地塩屋は風光明媚な街で、海のむこうに淡路島が近い。(嶋谷)
2020年5月19日号