ひょうごミュージアム

ひょうご描き歩き
『應聖寺 (神崎郡福崎町)』

2020/04/14
 中国自動車道・福崎ICから北西に7㎞ほど七種川を遡った山里に「関西花の寺二十五カ所霊場8番」沙羅の寺として知られる有名な應聖寺(おうしょうじ)がある。
 「沙羅」はナツツバキとも呼ばれ、その数200本余りが6月から7月頃に純白の清々しい花をつける。朝咲いて夕べに散る儚さゆえに、平家物語では「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」と詠まれる。釈迦の入滅を現す涅槃図の四隅にも沙羅の木が植えられている。仏教と縁の深い沙羅に魅せられたこの寺の住職が、境内にこの木を植えて大切に育ててきたものという。山門の左手前に「涅槃の庭」が創ってあり、長年かけて仏頭、仏足を刻みこみ、胴体となる部分にサツキで着飾った涅槃仏が横たえられた。本坊裏の斜面にある庭園も見逃せず、大小の石を巧みに重ね合わせた江戸時代前期の名勝。境内一帯には約千種類を超える山野草が四季折々に可憐に咲き茂る。庭園の池に張り出している木の枝には、6〜7月頃、泡に包まれたモリアオガエルの卵を見ることもできる。桜の時期が終わると境内はアヤメやサツキ、シャクナゲなどが一斉に咲き始める。インドの僧法道仙人によって開基されたと言われ、南北朝時代には播磨国守護・赤松則祐の祈願所として繁栄し、親しみを込めて愛された静かに眠る山里である。(嶋谷)
2020年4月14日号