改憲の動きをウオッチング

2020年3月10日号

2020/03/10
■改憲前面に 自民、2020年運動方針案
 自民党は2月21日の総務会で2020年の運動方針案を了承した。方針案は、①前文②憲法改正③重点政策④党活動で構成。憲法を独立した章として前面に打ち出し、衆参両院の憲法審査会で早期に議論を進めるよう訴えている。
 方針案は、「憲法改正原案の国会発議に向けた環境を整えるべく力を尽くす」(毎日)と決意を明記した。改憲について国民が判断する材料を示すのは政治の責務だと強調し、衆参両院の憲法審査会で早期に「各党各会派の枠を超えた議論」をするよう求め、「各党各派からの意見・提案があれば真剣に検討するなど幅広い合意形成を図る」(同)と強調した。
 さらに方針案は具体的な行動として、国民世論を喚起するため「遊説・組織委員会」の設置と全国各地における憲法集会の開催やポスターの全国展開と女性向けパンフレットの作製、インターネット動画の活動など、昨年来取り組んでいる各地における草の根運動を再確認している。われわれの「改憲発議に反対する全国緊急署名」の草根の運動との真っ向勝負だ。自民党のあらゆる改憲策動を打ち破ろう。
 3月8日に開催予定だった自民党大会は、新型コロナウイルスの感染拡大問題などを受けて延期に。
■法解釈180度変更 検事長定年延長 立憲デモクラシーの会声明
 憲法に従った政治の回復を目指す憲法学者・研究者らで組織されている立憲デモクラシーの会が2月21日、「検察官の定年延長問題に関する声明」を発表した。
 東京高検の黒川検事長は2月7日に退官する予定だったが、安倍内閣は国家公務員法を根拠に黒川氏の定年延長を閣議決定した(1月31日)。
 これまで検察官の定年延長は検察庁法によって認められてこなかった。また、政府の見解でも「国家公務員法の規定は検察官に適用されない」という考え方が示されてきた。それにもかかわらず、閣議決定で制定当時の政府見解を180度解釈変更して、国家公務員法を根拠に定年延長が認められるのか?
 声明は、「国会の審議・決定を経ずして、単なる閣議決定で決められるべき事柄ではない」と批判。「従来の法解釈を自由に変更してかまわないということでは、政権の行動に枠をはめるべき法の支配が根底から揺るがされる」「その時々の都合で長年の法解釈を変更して恬(てん)として恥じるところがないというのでは、国民の法の支配への信頼は崩壊してしまう」と断じている。
 また、声明は「百歩譲って検察官にも国家公務員法を適用して定年を延長できるとしても、それが可能な場合は現行法上、きわめて限定されている」として、「問題となる国家公務員法の規定が適用されるとしても、今回の閣議決定は、人事院規則および国家公務員法に違反」と主張。「法の支配をないがしろにする現政権の態度があらわになったと言わざるを得ない」と手厳しく批判している。
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