改憲の動きをウオッチング

(2021年9月28日号)

2021/09/28
■市民と野党の共闘勝利で、憲法をいかす政治への転換を
  菅首相は、自民党総裁選で再選が無理と見るや、いち早く退陣を表明し、政権を投げ出した(9月3日)。
 9年間におよぶ安倍・菅自公政権に対する国民の不平、不満、怒りの声と運動が追い詰めた結果である。目前に迫る総選挙は市民と野党の共闘で、憲法をいかす政治へ転換する絶好の機会である。
 「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)は9月8日、総選挙を闘う共通政策について、野党4党と合意した。市民連合は、「この政策合意は、国民本位の政治を実現するための第一歩である」と、声明で強調している。
 野党共闘の旗印となる共通政策は、①憲法に基づく政治の回復、②科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化、③格差と貧困を是正する、④地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行、⑤ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現、⑥権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する―これらの6本の柱と20項目の具体的な政策を掲げ、安倍・菅政治との対立軸を鮮明にしている。
 憲法と平和にかかわる共通政策は、次のとおり。
・安保法制、特定秘密保護法、共謀罪法などの法律の違憲部分を廃止し、コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対する。
・平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う。
・核兵器禁止条約の批准をめざし、まずは締約国会議へのオブザーバー参加に向け努力する。
・地元合意もなく、環境を破壊する沖縄辺野古での新基地建設を中止する。
■戦争法で自衛隊任務、拡大の一途 9・11事件から20年
  東京新聞は、9月11日付紙面で「2001年の米中枢同時テロから20年。この大事件は、日本の安全保障政策の大きな転換点になった」とし、戦争法の制定によって日米の軍事的一体化が進み、自衛隊の任務は拡大の一途をたどっているとして9・11以降の主な動きを振り返っている。参考資料として抜粋する。
・2001年 米中枢同時テロ、米英がアフガニスタン攻撃。テロ特措法成立、自衛隊がインド洋で米艦船に給油
・03年 イラク戦争、イラク特措法成立。04年に自衛隊、イラク派遣
・09年 自衛隊ソマリア沖での海賊対処に派遣
・14年 憲法解釈を変更し、集団的自衛権行使容認を閣議決定
・15年 安全保障関連法成立。海外派遣の根拠が恒久法になり、有事の活動範囲に地理的制限なくなる
・19年 安保法に基づきシナイ半島多国籍軍・監視団に自衛官派遣
・20年 日本関係船舶の安全確保のため、自衛隊を中東派遣
・21年 アフガニスタンでタリバンが権力掌握し、米軍が完全撤退。邦人退避のため自衛隊派遣                           (中)