改憲の動きをウオッチング

改憲の動きウオッチング

2021/07/27
■菅政権初めての防衛白書と武力行使の要件
  政府は7月13日、菅政権初めての2021年版防衛白書を承認した。
  岸防衛相は白書の「刊行に寄せて」の中で、「中国は東シナ海や南シナ海において、一方的な現状変更の試みを続けている」「わが国固有の領土である尖閣諸島周辺においては、わが国領海への侵入を繰り返している」と批判し、「こうした安全保障環境上の課題に対抗していくためには、わが国自身の防衛力を強化し、特に、わが国唯一の同盟国である米国との連携は最も重要」と表明している。
 「米国と中国との関係」に関する節が初めて設けられ、「中国は、台湾周辺での軍事活動をさらに活発化させている」と指摘。バイデン政権が、軍事面において台湾を支援する姿勢を鮮明にしているなか、「台湾をめぐる米中間の対立は一層顕在化していく可能性がある」と強調している。
 さらに白書は、「台湾をめぐる情勢の安定は、わが国の安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとっても重要」と白書に初めて台湾情勢のことが明記された。
 「台湾有事」をめぐっては、麻生副総理が「大きな問題が起き、日本にとって『次は』となれば、存立危機事態に関係してくるといってもおかしくない。日米で一緒に台湾の防衛をやらないといけない」と述べ、集団的自衛権を行使できる存立危機事態の認定につながる可能性を指摘した(朝日)。
  白書では武力行使の3要件について20年版までは記載していた旧3要件が削除され、集団的自衛権の行使を認めた新3要件のみを記している。「旧3要件が削除されているため変更の経緯がわかりにくくなった」(東京)。
 自衛隊の武力行使は、旧3要件では日本に対する直接の攻撃があり、自国防衛のためのやむを得ない場合に限り認められた。安倍前首相が14年に要件を変更し、自国が攻撃されていなくても、集団的自衛権に基づく武力行使が可能となった(15年、戦争法成立)。
 15年版〜17年版は新3要件のみ記載。18年版〜20年版は旧3要件も明記している。
■菅内閣の支持率低迷続く 読売でも不支持は内閣発足後最高
  メディアの世論調査で菅内閣の「支持率」は軒並み低下している。
 読売新聞でも直近の調査で(7月9日〜11日)支持率は37%、不支持率は53%に上がり、内閣発足後で最高となった。
  とりわけ、東京都民の政府に対する厳しい評価が目立つ。支持率は28%で(全国平均37%)、6月調査から3%、5月調査から12%の大幅低下。不支持率は63%(同53%)にも達した。
  4度目となる緊急事態宣言で感染拡大防止に効果があるとは「思わない」73%(同56%)。東京五輪では「中止」50%(同41%)で、「無観客」は28%(同40%)を大きく上回った。
 コロナ対策や五輪対応の失敗に対する東京都民の不満の噴出であり、菅内閣に不信任を突きつけたに等しい。それでも東京五輪強行か。 (中)