改憲の動きをウオッチング

(2023年2月22日号)

2023/02/22
■岸田首相、改憲「先送りできない」総裁任期内に意欲 衆院本会議
  岸田首相は改憲について衆院における代表質問に対して「党総裁選などで『任期中に実現したい』といってきた。先送りできない課題だ」(日経)と表明し、任期内・2024年9月までの改憲に意欲を示した。そのためにも「与野党の枠を超えてさらに積極的な議論を期待したい」(産経)と強調している。
他方、改憲4党は7日、国会内で会談し、衆院憲法審査会の早期開催を目指すことで一致。開催に抵抗している立憲民主党に働きかけることも確認した。立憲は予算案の審議中は「開催に応じられない」としているが、今後の動向を注視しよう。
また、自民党安倍派は、派閥の会合で18年に党が決定した改憲4項目について9条と緊急事態対応について検証する方針を決めた。プロジェクトチーム(座長・稲田朋美元防衛相)で議論を始めることになっている。
下村博文会長代理は「4、5年後には(日本の)防衛予算は世界で3番目になる。海外では軍隊に位置づけられながら、国内では『必要最小限度の実力組織』ということが本当に通用するのか」
と疑問を呈したという。
これらの発言・動きは、
集団的自衛権を容認した戦争法の強行や9条の平和主義を覆す安保関連3文書を閣議決定してもなお、9条が「戦争する国づくり」の歯止めとなるため、9条の明文改憲への執念をあらわにした言動であろう。9条の明文改憲は断じて許されない。
■「沖縄戦の惨状を繰り返してはならない」敵基地攻撃能力「反対」55・6%、「賛成」25・1% 琉球新報世論調査
  安保関連3文書の決定を受け、琉球新報社は県民を対象とした世論調査を実施した(1月28、29日)。
政府の防衛力強化に「支持しない」51・9%で「支持する」24・4%を大きく上回った。敵基地攻撃能力の保有についは「反対」55・6%で、「賛成」25・1%を30・5%上回り、南西諸島への自衛隊配備強化についても「賛成」28・7%に対し、「反対」54・2%と開きが出た。反対の理由で最も多かったのが「沖縄が他国の標的にされるから」(59・3%)だった。
  なお、辺野古新基地建設については、64・1%が反対を選択した。県内移設であり、機能が増強される新基地建設への根強い反対がまた示されたことになる。
  同紙社説は県民世論調査の結果について、「有事では最前線に立たされる恐れがある沖縄県民の強い危機意識が如実に表れた」と指摘。
また、「防衛強化は周辺国との緊張感を高め、ミサイル部隊の配備についても抑止力向上にはつながらないと半数以上が感じている。専守防衛を逸脱する軍備強化ではなく、対話を重視する平和国家の姿勢を貫くことを県民は求めている」と強調し、「頑迷な米国追従、軍事強化を改め、生活者の声に耳を傾けるべきだ」と岸田政権に求めている。
(中)