改憲の動きをウオッチング

(2023年2月8日号)

2023/02/08
■安保戦略 政府、国民に「決意」要求
  開会中の第211回通常国会は、今後の日本の進路を左右する重大な国会となる。
 岸田政権は、首相自らが「戦後安全保障政策の大転換」と誇らしげに明言する「国家安全保障戦略」など安保関連3文書を閣議決定した。その柱は、言うまでもなく憲法を踏みにじる敵基地攻撃能力の保有である。
 この大軍拡を実行するため、今後5年間の軍事費を総額43兆円に大幅増額し、2027年度以降は年4兆円の追加財源が必要だとする。そのうち、歳出改革などでは賄えない1兆円強については増税によって捻出するとしている。政府は軍事力の抜本的強化のため、2022年度予算を1兆4192億円上回る6兆7880億円の2023年度軍事予算を国会に提出している。
 岸田政権が閣議決定した安保戦略には、「敵基地攻撃能力の保有を盛り込み、『国家としての力の発揮は国民の決意から始まる』」(共同)と明記しており、政府は国民に軍事への「決意」を求めている。
 これについて、泉立憲民主党代表は、戦争に協力しなければ「非国民」とされた歴史に言及しながら「国民に増税を強いて、国防の決意をただ強いるのであれば、危うい道に踏み込みかねない」、共産党の小池書記局長も「(国民への決意)はあらゆる分野で戦争協力体制をつくる国家総動員の意味だ」(沖縄タイムス)と警鐘を鳴らした。
■大軍拡・「新しい戦前」NО 今こそ反戦平和の声大きく 
 テレビ朝日系「徹子の部屋」で12月28日、ゲスト出演したタモリさんは、黒柳さんから「来年はどんな年になりそう?」と尋ねられ、「誰も予測できないですよね。これはね。でもなんて言うかな。新しい戦前になるんじゃないですかね」と応えたという。
 国会審議も、国民への説明もなく、戦後の安全保障戦略を大転換する「安保関連3文書」の閣議決定を行い、戦争への道に大きく踏み出した岸田政権に対する的を射た批判でなかろうか。
  その岸田首相、憲法の平和主義を覆す暴挙を行っていながら1月23日の施政方針演説で「今回の決断は、日本の安全保障政策の大転換ですが、憲法、国際法の範囲内で行うものであり、非核3原則や専守防衛の堅持、平和国家としての我が国としての歩みを、いささかも変えるものではないということを明確に申し上げたい」とのたまう。「大転換である」と言いながら、「いささかも変えるものではない」と。これでは、なにを言いたいのかさっぱりわからない。これで国民をごまかせるとでも思っているのだろうか。それとも総理たるオレさまが「決断」したのだから、つべこべ言わずに黙ってついてこいとでも言いたいのだろうか。思い上がりもいいかげんにしろ。「聞く力」もないご仁が、「丁寧な説明」などできるはずがない。
 今こそ、反戦平和の叫びを大きくしなければならないときだ。(中)