新社会兵庫ナウ

私の主張(2022年11月9日号) 

王子公園再整備問題
問われる民主主義 市民不在の再整備計画

2022/11/09
 突然、一方的に提案されてきた王子公園再整備素案
 昨年末、突然提案された王子公園再整備基本方針(素案)は、市民にとって、まさに“寝耳に水”だった。ゾーニングだけの素案を公報もせず、特定の団体やご近所さんだけを相手に行われた1回ぽっきりの説明会。そして型通りのパブリックコメント。いつもなら淡々と進められていくこの過程において、1,456人5,632件の市民の意見が提出され、計画にストップがかかった。異例だ!「はじめに大学誘致ありき」のために、次々と既存の施設が廃止される……、こんなことを許して良いのか。そもそも、王子公園の未来を決めるであろうこの計画を、市民の声に耳を傾けることなく神戸市(長)の一方的な手法で決めていく(市民の意見が反映される仕組みがないこと自体が問題なのだが)……。その乱暴なやり方の結果、神戸市は素案を見直さなければならない事態に追い込まれた。
 その後、神戸市は見直しの考え方と方向性、修正素案と出してきたが、財政的裏付についても、経済的効果についても、市民への説明責任が十分に果たせているとは言えず、アリバイ作り的にゾーニングを若干触っただけのもので、「はじめに大学誘致ありき」は頑として譲らない。
 
 「王子公園・市民ミーティング実行委員会」の立ち上げ
 今年1月16日、私たちは、「王子公園・市民ミーティング実行委員会」(以下、「実行委員会」)を立ち上げ、「王子公園の未来はみんなで決める!」というスローガンのもと、4回のミーティング、署名運動の展開、神戸市への再三の申し入れ、市民パレード、スタンディング行動等に取り組み、多くの市民とともに神戸市に対して「大学誘致白紙撤回」「王子公園再整備計画への市民参画」を求めてきた。
 7月23日の「実行委員会」主催による意見交換会では、大学誘致については、意見交換も平行線で、その結果、97%の“大学誘致反対”を可視化することができた。市民は今なお、「はじめに大学誘致ありき」を受け入れていない。これを強引に押し通せば、神戸市の将来に禍根を残すことになる。
 
 都市公園に対する理念が示されていない再整備素案
 27年前に阪神・淡路大震災を経験した私たちは、今、公園の持つ防災意識を認識し、これに対応した再整備を求めている。震災後、初期は広域避難所として、復旧期は、(災害救助隊としての)自衛隊の駐屯、緊急ヘリポートや物資の搬入、そして復興期は仮設住宅用地になった。その後、王子公園は防災公園に指定されている。災害が頻繁に起こる昨今、防災・減災の観点で王子公園再整備問題を考えたいし、考えるべきである。
 また、気候変動・地球温暖化が叫ばれているにもかかわらず、その流れに逆らうかのように今、明石公園や明治神宮外苑等々において樹々の容赦ない伐採が問題になっている。
 摩耶山、六甲山を背にした王子公園も、昔から”原田の森“として知られており、周囲は、桜やクスノキの樹々に囲まれている。その入口近くにあるクスノキのてっぺんには、10年前ごろからアオサギが3〜4羽、棲みついているのをご存じだろうか。時折、翼を広げて飛び交う姿が見られる。また、震災後、復興を願い始まった”夜桜の通り抜け“では、区内外から多くの人が集まり、ライトアップされた夜桜を楽しんでいる。
 世界的潮流である生物多様性保全や動物福祉の観点での敷地の“拡張”でより自然な生育環境を考えたい。「はじめに動物園ありき」、これが私の思いでもある。
 
 “市民の力”を信じて。王子公園再整備の対案作成
 この間、多くの市民の声を聴きながら、大学誘致云々に留まらず、王子公園再整備を都市公園としてのあり方の観点で総合的に考えるべきではないかと思うようになった。
 10月2日の市民ミーティングで、松本誠さん(「市民まちづくり研究所」所長)は、神戸市の王子公園再整備計画は、「大学誘致という名の公園の切り売りだ」と強く批判した。数年先、十数年先の経済的なメリット等にとらわれるのではなく、私たちは遠い未来を見据えて王子公園再整備について考えたい。それが市民としての義務と責任だと考える。現在、市民が作った王子公園再整備計画の対案を出す準備をしている。“市民の力”を信じたい。
    小林るみ子(神戸市会議員)