新社会兵庫ナウ

若者のひろば(2022年8月24日号)

2022/08/24
不平等な選挙制度
 
 夏の参院選で、訴えたい大きな項目のひとつとしてあげながら、街宣や集会では十分に訴えることが出来なかった「小選挙区制度」の問題点について、改めてご紹介させてください。

 小選挙区制度は、問題だらけです。政治が猛然と新自由主義政策を推し進めてきた時代に導入されましたが、小選挙区制度がもたらしたものは、民主主義の破壊そのものでした。その理由は、大きく3つが挙げられます。
 ①小選挙区で候補者になるためには大きい組織に身を置く方が有利です。そのため、自分の持つ理念よりも、勝てる可能性を求めて大きい組織の方針に合わせようとするからです。
本来、様々な意見をたたかわせる場のはずが、異論を認めない「みな同じ」になっていきます。
 ②小選挙区制導入から26年。選挙は、実施前から実質、勝者が決まっていて、死票が増加します。
一方、現行の小選挙区比例代表並立制では小選挙区では落選しながらも比例で復活当選する議員が生まれるなど、有権者は選挙への期待が持てなくなり、「どうせ変わらない」からと、棄権することが増え、投票率も低下し続けています。
 ③しかも、小選挙区制度導入に合わせて、法律が「政党要件」を定め、「政党」には私たちの税金から多額の助成金が交付される一方、「政党」ではない個人や団体が、国政選挙に立候補するにはさまざまな条件が課せられます。
 ④そして選挙に立候補するためには世界一、飛び抜けて高い供託金が必要とされます。
 衆議院選挙では小選挙区で1人300万円(参院選では選挙区で1人300万円)、比例代表は1人600万円の供託金が必要です。
 参議院選挙の場合は、政党要件のない「政治団体」が比例区に立候補するには10人以上の候補者をそろえなければならない高いハードルがあり、最低でも比例区に1人で600万円、選挙区に9人で2,700万円の3,300万円の供託金が必要です。
 衆議院選挙の場合も、政党要件のない「政治団体」が比例区に立候補するためには、比例ブロックの議員定数の20%以上の立候補者が必要です。
片や税金で潤沢な費用を持ち、片や全て自前で資金を作り選挙に参加する。広報活動などで差が出るのは当然でしょう。無責任に選挙に立候補されるのを防ぐため、という理由づけですが、誰にも平等に保障されているはずの被選挙権に差をつけていると言っても過言ではありません。
 大企業や、大企業労組をバックにする候補者の大半は男性です。
 労働力調査(2021年)によれば、女性が圧倒的に多い非正規の職員・従業員の年収(女性)は、100万円未満が42・2%、100〜199万円が38・7%となっています。つまり、年収200万円未満のワーキングプアが8割なのです。
 今の労働者の現状を改善させたいので国会議員になろうと考えても、この供託金を準備する段階で諦めてしまうでしょう。こういう条件の人は国会議員になるなと言われているようなものです。
 この不平等な選挙制度を廃止し、完全比例制に変えていきたいです。
(岡崎彩子)