新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ388

2022/03/23
 昨年7月13日付の本欄で紹介した、S市のこども園に勤務する会計年度任用職員の不当解雇撤回闘争に関する続報。
 団体交渉で「解雇は正当である」とする姿勢を変えようとしない教育委員会の不誠実な態度について、県労働委員会に救済を申し立てた。労働委員の勧めに従って第2回団体交渉を申し入れ、昨年末に実施したが、教委側の態度は変わらず、従来どおりの回答を繰り返すのみであった。今年2月にもたれた県労委の調査で、「教委側は私たちからの追及にまともに答えようとはせず、従来回答を繰り返すのみで、合意点を見出そうとする姿勢は皆無である」と訴えた。私たちは「解雇理由について、本人が納得のいく説明を行え」と求めたが、「解雇は正当であり、同じ内容を繰り返し説明することが誠実さの証である」とする教委とは折り合うはずもなかった。
 「一切妥協に応じない」とする教委側の姿勢の前に、私たちは労働委員会制度の限界を痛いほど感じた。こうした頑なな姿勢に対して、労働委員も私たちの主張に理解を示しながらも、双方の主張の隔たりは埋め難く、調査を続行するかどうか対応に苦慮していた。
 最終的に県労委より、ユニオンは今回の争いについては取り下げることとして、今後このような案件が生じユニオンから団体交渉の申し入れがあった場合は、当該教育委員会は誠実に対応し、要求を受け入れることができない場合でも論拠を示して説明するなど合意形成に向けた努力をするものとする、といった合意書(案)が提示された。(案)の内容は一瞥すると「問題のすり替え」であると感じられたが、同時に労働委員会が苦心した跡も見て取れた。
 労働委員会制度に限界を感じていた私たちは、(案)の受入れを決め、戦術を変更して解雇の不当性を市民に訴えようと意思統一している。市教委が(案)を受け入れた場合は勿論、受け入れなかった場合も「S市教委の不誠実さ」は白日の下にさらされることとなり、宣伝ビラの記事となって、市民の手元へと配布されることが計画されている。
細川雅弘(姫路ユニオン委員長)