新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ379

2021/10/27
経営不振を理由に退職を勧奨
 
 7月、呉服屋に勤めている女性の父親と兄が相談したいと事務所に来た。
 その女性は昨年4月、高校の就職あっせんで呉服屋に採用され、営業を主な仕事に勤め始めた。しかし、就職した時期は新型コロナ感染の拡大で緊急事態宣言が出されて客の出入りも少なく、社長が口にするのは、「経営が苦しい。売り上げを増やすには店員ひとりひとりの自助努力しかない」ということだった。
 その「自助努力」とは、女性と同時に就職した同僚の2人が21年に成人式を迎えるので、その成人式に着る晴れ着を買えというものだった。女性は両親に相談。両親からは、一生に何回も着るものではないし、値段も高額だからと反対されたが、買わないと嫌がらせを受けると思い、月賦払いで買った。彼女の同僚も同じ思いで買った。
 しかし、「自助努力」の強要はこれで終わらず、次に言ってきたのは、退職勧奨だった。8月20日までに自己都合による退職を考えてほしいと打診してきたのだ。しかし、今、退職に応じたら、晴れ着の借金もあるし、返済能力もない、次の働くところもないので断りたいが、どうしたらいいのかわからないので相談に来たということだった。
 社長と奥さんの接触態度も変化。店先の清掃がちゃんとできていないとゴミを持ってきたり、スマホは勤務中は店に置いておくよう言ってきたり、給与は売上に見合ったものにしたいと言い、その日の営業の報告(ノルマの消化状況)をするように言ってきたり。営業が時間外でも残業代を支払う金はないとの姿勢だ。
 ユニオンとしては、退職の意思がないことを明確に意思表示することが大切だとアドバイス。意思表示をしたことで、自己都合退職をさせるためにさらに嫌がらせが予想されるが、自ら退職したら悔いが残るだけだ。
 ユニオンは、嫌がらせ行為には、「いつ・どこで・誰が・何を」したのかメモすることが大切だとも伝え、今後、退職強要や解雇通知もあることを予測してユニオンは対応するとアドバイスした。
 岩本義久(はりまユニオン書記長)