新社会兵庫ナウ

若者のひろば(2021年10月27日号)

2021/10/27
黒鯛釣りに魅了される
 
 職場の同僚から黒鯛(チヌ)釣りを教えてもらったのがきっかけで、それ以来、黒鯛釣りにはまり込んでいます。身近な防波堤から狙える警戒心の強い大物の黒鯛釣りは奥が深く、はまらない訳がありません。魚釣りに興味がない方からすればまったく理解できないことだと思いますが、少しご辛抱願います。
 黒鯛の釣法はたくさんあるのですが、私が最初に教えてもらったものは、「紀州釣り」という釣法です。米ぬかをベースにしたダンゴにオキアミなどのエサを包んでポイントへ投入し 海底に沈んでダンゴが割れ、エサが出ると、それを黒鯛がパクッと喰うという図式で成り立っています。「紀州釣り」の発祥は、はるか昔の江戸時代に紀州藩の藩主が藩士に魚釣りを奨励したのが始まりと言われているように、黒鯛釣りは昔から身近なものだったようです。
 「紀州釣り」は今となっては全国的に人気が広まり、「ダンゴ釣り」という名称で一般化してきました。ただし、神戸港の一部釣り場ではダンゴが水質汚染になり禁止しているところが今もあります。一方、神戸港では、岸壁に付着している貝やフジツボそして蟹で黒鯛を釣る落とし込み釣法(「ヘチ釣り」)は盛んに行われています。その地域に特化した釣法があるようです。最近はワームと呼ばれる擬似エサを使ったやり方で若者の間では人気となっています。専ら餌釣りは年配者が圧倒していますが……。
 ここ数年行われている神戸港防波堤の解体や埋め立てによって、大阪湾の潮流は大きく変わっています。また、工業廃水や生活排水が大阪湾に流れて死の海と言われていたものも、今ではきれいな大阪湾になりすぎて逆に岸壁の付着物が長く生息できないなど変化してきました。そして気候の温暖化によりタチウオなどは神戸港の湾奥に早い時期に接岸するようになり、ひと昔前とは違う魚種が釣れだし季節感も変わっています。
 黒鯛の落とし込み釣りの話しに戻りますが、餌釣りやワームを使っての釣法が盛んに行われているのは先程お話ししました。目的は同じ黒鯛を狙っているのですが、生き餌と擬似餌で違うとか釣具が違うとかいった理由で老若相容れないものが少なくともあるのです。どこの世界でもありがちです。
 ある名人と称される方は、黒鯛の落とし込み釣りをもっと若者の間でも広めようと分け隔てなく釣法を継承されています。名人のところには若者達も集まるものです。なるほどと思ったのは、若者と話し行動することで自分も知らないことを発見できたということです。継承している中で自分自身も成長されていることです。
 私も名人のような年配者になりたいと思っています。私の職場は年齢差も幅広く老若相容れないものもあります。名人を見習い活かせれば今よりは何か変わるのではないかと勝手に思っています。(R・N)