新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ372

2021/07/13
自治体職場でのパワハラ
 
 某自治体のこども園に勤務する会計年度任用職員から「分限免職されそうになっている」という相談を受け、団体交渉を実施した。4月に採用された彼女は、条件付採用期間における評価の結果、勤務成績が不良で必要な適格性を欠くと認められるため免職されるという。交渉の席上、教育委員会は「業務手順の理解が遅く、ひとつひとつの作業時間が遅いため業務の停滞を招いている」「上司や同僚からの指導に対して素直に受ける態度が見られない」との解雇理由を説明したが、身に覚えが無いことであると本人は否定した。教委側は、園長からの第1次評定や同僚からの聴き取り等を総合的に勘案して決定したので問題はないと回答したが、本人の主張と園長・同僚からの聴取内容とが食い違っている点について、本人が納得いくまでの話し合いは行われていなかった。
 本人に対する、園長からのパワハラが疑われる言動があった点についてユニオンが質したところ、教委側は「園長・同僚からそのような事実は無いと確認している」と回答し、パワハラの加害者及び同調者からの聴き取りによって「パワハラが無かった」と認定したことが明らかになった。証拠となる音声データが有ることを本人が告げるに至り、ようやく教委側は再調査の意向を口にしたが、「調査の結果、パワハラの事実が確認されたとしても解雇は撤回しない」と言い放ったため、交渉決裂となった。団体交渉における教委側の姿勢は自己の正当性を主張するのみで、私たちの意見にまったく耳を傾けようとはしなかった。このような相手と交渉を実施しても時間を浪費しただけの結果に終わり、非常に残念に思われた。
 労働施策総合推進法が改正され、昨年6月からパワハラ防止措置が事業主に義務化されたにもかかわらず、当該の教育委員会は十分な対応を行わず、管理職を含む職場の多数派の意見だけをもって事実と認定し、被害者の主張を切り捨てた。ハラスメント防止に関する義務を怠り、交渉で不誠実な態度をとり続ける自治体当局の姿勢は許されるものではない。
細川雅弘(姫路ユニオン委員長)