新社会兵庫ナウ

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『労働法に無知なダメな経営者』

2023/03/22
 飲食店勤務で、うつ状態で休職中の女性(22歳)から、休職中に社会保険と雇用保険を打ち切られたと相談があった。
アルバイトとして働き始めた相談者は、昨年7月に正社員に。コロナ規制が緩和され、観光客でにぎわうようになると、時間外労働は多くなり、月80時間を超えていた。
 労働条件は、基本給24万円に50時間分の時間外労働が含まれている。時間外労働は80時間を超えていたが、50時間を超える割増賃金として支払われていたのは3万3千円。根拠がわからない。休日は「半日+半日=1日」で計算されていた。所定労働時間は1日8時間シフトだが、月の休日は6日しかない。これでは病気になる。
休職してひと月後に復帰したが、体が動かなくなり、再び休職。会社から「フルタイムで働けないならアルバイト」と「社会保険と雇用保険を打ち切る」というLINEが届いた。
 すぐにユニオンに加入。社会保険と雇用保険は回復されたが、社長の無知さが腹立たしく、呆れる。「飲食業は長時間労働があたり前」「相談者の残業は少ない方」「診断書は送られてきたが、休職の申し出がなかったから休職扱いにせず、社会保険と雇用保険を打ち切った」「相談者のことを思ってアルバイトの扱いにした」との主張。雇用形態の不利益変更も、法律の限度を超えた長時間労働も、休日日数も法律に違反しているが、「自分は悪くない」と主張した。
 相談者は、「職場の人間関係が良く、働きやすかった。残業代も出ていたからいい会社だと思っていた」と言う。少しでも残業手当が支払われていると、正確な金額ではなくても「サービス残業がない、いい会社」となるのだろう。
 サービス残業が定着し、残業手当を「払わないこと」が当たり前になってしまった社会が、若者の働き方を歪にしている。これが「普通」になる社会にしたくない。労働法のテストをクリアできない経営者は経営者失格企業として公表するような制度が必要だと思う。
木村文貴子(神戸ワーカーズユニオン書記長)