新社会兵庫ナウ

水脈(2023年3月8日号)

2023/03/08
あと3週間余りで統一自治体選挙。各陣営では選挙への追い込みに必死だが、選挙を前にした今の世の空気に、どうにも違和感を覚えてしまう▼支持率低迷がつづく政権が、日本が戦争に巻き込まれかねない、戦後の安保政策の大転換を閣議だけで決定して間もない時期である。しかも国会は会期中だ。この政治状況の中で、高橋純子氏(朝日新聞編集委員)の言葉を借りれば、「大転換をしてこの静寂」なのである。原発政策についても、政権は「原発依存社会」への回帰の大転換を決めた。いずれも日本社会を大きく変える政策転換である。こうした政治課題をめぐる攻防の状況はどうだろうか。政治的論戦、もっと言えば、思想に立脚する論理的対決があまりにも「静寂」すぎないか、との思いが違和感となる。政権の横暴に対決すべき野党、そして「民」の声はどうなのかいう自問に駆られる▼岸田首相の、口先だけの、信念も根拠もない、空虚な言葉の世界に世の中みんなが引きずり込まれてはいないはずだ。「民」の声を顕在化させ、「民」の声を力に変えなければならない。「民」が「主役」である「民主主義」を「民」の論理と力によって回復させなければならない。4月の自治体選挙は地方からのそのための場だ。