新社会兵庫ナウ

水脈(2023年2月22日号)

2023/02/22
同性婚問題で、図らずもその「家族観」が見えた岸田首相。(前)秘書官がオフレコ取材で発した本音の差別発言と共に世界中を駆け巡り、その古い価値観への批判を受けている▼日本は婚姻での夫婦同姓を義務付けている世界で唯一の国だ。戦後、経済復興最優先で突き進んできた社会は、結婚し、女が家事・育児・介護を引き受けることで男が働くことに専念することが経済成長を支える理想的な「家族」と位置付け、社会保障や税制度によって固定化してきた▼描かれた理想の家族はすでに少数になっている。経済成長どころか、食べる、学ぶ、働く等の基本を維持できない程の低所得者・家族が激増している。女・こどもを1人の権利ある人間と位置付ける扱いとは程遠い「価値観」が、非正規労働者を大量に生み出すことになった派遣労働法や国民年金3号非保険者制度を継続させてきた▼2月1日の予算委員会で岸田首相は社会保険制度や税制度上の「年収の壁」問題の解消に向け制度を見直すと答弁した。「家族」単位維持のために複雑化した年金制度等を時間がかかってもほぐしていくためには、社会に生きる個々人が単位だとの「価値観」を醸成していく必要がある。私たちも試されている。