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「求められるギグワーカーのセーフネットの早急な整備」

2023/02/22
「求められるギグワーカーのセーフネットの早急な整備」

 コロナによるステイホームが常態化するなかで、巣ごもり需要が拡大した。それに伴い、ネット通販やフードデリバリーなど、インターネット上のプラットフォームを介して働く“ギグワーカー”と言われる単発の仕事を請負う労働者が増大した。個人請負やフリーランスだ。
最近、武庫川ユニオンにはそれらの配達員からの相談が増えている。
 アマゾンや出前館などは、スマホで契約し、アカウントを与えられてアプリから仕事を請負うことになる。
A社の場合、規約に同意するだけで請負契約を結ぶことになるが、本人の手元には請負契約書も規約も渡されていない。仕事を始めた当初は1週間後の仕事しか取れず、しかもその仕事は早い者勝ちなので、慣れるまでは非常に苦労をし、実績を積むことで1カ月先までの仕事を取ることが出来るようになるという。
 同じ配送員でもフルタイムのボス的先輩が「AIが決めた」と言いながら、恣意的に楽な仕事をボス的先輩が取り、気に食わない配達員には遠方で、配達個数の多い仕事を押し付けている。それが差別的だとA社のサポートセンターに電話を入れたら、「恫喝を受けた」と言われ、アカウントをはく奪され、仕事を奪われた。「腹が立つし、おかしいことがまかり通る状況を変えたい」とユニオンへ相談に来たが、正直大変難しい問題だ。
EUは2021年に一定の基準を満たせば労働者とみなす法案を公表した。東京都労働委員会でもウーバーイーツに対して団体交渉に応じるよう命じた。
 ギグワーカーは収入が不安定で、立場も弱く、不利な取引条件を強いられるが、最低賃金も保障されず、労災保険にも特別加入に留まるなど、労働者との格差がある。早急にセーフネットの整備が求められる。
塚原久雄(武庫川ユニオン書記長)