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維新の伸張の背景を探る
桜田照雄・阪南大学教授が講演
新社会党県本部が学習会開催

2021/10/13
なぜ日本維新の会が支持を広げてきたのか、その背景を考えた学習会=9月24日、神戸市勤労会館
 先般の尼崎市議選や県知事選の結果が示すように、県内での伸長が顕著な日本維新の会をきちんと知ろうと、新社会党兵庫県本部は9月24日、神戸市内で学習会を開いた。講師は阪南大学教授の桜田照雄さん。都構想反対の市民運動などに積極的に参加されている。
 桜田さんは、「なぜ維新は支持を得ているのか」の講演テーマに応えて、まず結論的に、「強烈な地盤をもって強烈な組織戦を展開し集票する組織力を持つ政党」と指摘。具体的な特徴点として、①改憲推進の自民党支持者、「身を切る改革」など既得権益批判に共鳴するアンチ自民層、見栄えのよい候補者を選びがちな無党派層など幅広い層を支持基盤に持つ。②「1日600の支持拡大、1日30回の辻立ち、立候補は自腹」で、その監視もつくといわれる厳しい活動ノルマで、1年中同僚議員の応援に回ることが議員の主な活動。③「大阪維新の会・経済人の会」のメンバーの民間企業に仕事の便宜を図る利権集団としての機能。吉本興業との業務提携などによる宣伝力、などをあげた。
 政策の幅の広さも特徴で、規制緩和、低生産性企業の淘汰、社会保障制度の「効率化」、大都市一極集中の肯定など新自由主義に立ち、政府の政策と変わらない。独自の政策は進めず、政府の政策をそのまま実行することで、国から高額の補助金を受ける。自民党支持層とも対立せず、府の負担を減らし、実績を残す。時流を読み、政府の予算の範囲内で、受けのいい政策を実行し、絶大な支持を得るという仕組みだ。府・市の職員条例で職員から反対の声を出す力を奪ったことも大きい、との指摘もあった。
 また、大阪経済の衰退が顕著で「何をやってもうまくいかない」時代に維新が登場、地方自治や2元代表制を否定し、弱者いじめの政治など、やることは酷くとも「既成政治」を斬る維新に支持が集まる根拠はあった、と述べた。
 一方で、維新への投票も限界はあり、投票率が上がれば立憲野党も勝てるとし、「都構想」住民投票で辛勝できたのは、反対派が街角に出て、維新の欺瞞を徹底的に暴く対話を市民と粘り強く続けたからだとして、それが求められている」と講演を締めくくった。(岡崎彩)