トピックス

あれから1年―
日本学術会議問題を改めて考える
11・3兵庫憲法集会へプレ集会 9.13

2021/09/28
日本学術会議の会員任命を拒否された芦名定道さんが任命拒否問題の本質や背景などについて語り、今後への展望も示唆した=9月13日、神戸市勤労会館
 菅政権が残した大きな歴史的汚点のひとつは、日本学術会議の会員任命拒否問題だ。首相就任直後の昨年9月、6人の会員候補の任命を拒否し、その理由はいっさい説明しないという強権、強圧ぶりを見せつけた。それからちょうど1年。菅首相は説明を拒否したまま退陣していく。いま、自民党総裁選一色の報道のなかで、この問題を忘れてはならないと、9月13日に開かれた「11・3兵庫憲法集会」のプレ集会の中の講演で、任命拒否をされた当事者の一人、芦名定道さん(関西学院大学教授。当時は京都大学教授)が、任命拒否問題の本質や背景などについて語った。
 
 「戦争させない、9条壊すな!総がかり行動兵庫県実行委員会」が主催する恒例の「5・3兵庫憲法集会」は、今年もコロナ禍のため11月3日に延期されたが、その成功に向けたプレ集会が9月13日、神戸市勤労会館で開かれた。
 講演では、芦名さんはまず、任命拒否をされた6人が例外なく安保法制や特定秘密保護法、「共謀罪」法などの安倍政権の政策に異議を唱えた人物であることから、その政権批判が問題視されたと思われがちだが、果たしてそうだろうかと疑問を提示。そして、政府が理由と真相を明らかにしないことによって、必要以上に自粛したり、忖度が広がったりする恐れがあることを指摘しながら、問題の核心へと迫った。
 さらに、日本学術会議の出発とその歴史的使命を解説し、重要なポイントは、日本学術会議が1950年、1967年、2017年と3度にわたり、「戦争や軍事目的のための科学研究を行わない」旨の声明を出していることにあるとして、軍事研究に反対する日本学術会議が問題視されたことを明確にし、6人の個人の主義・主張よりも日本学術会議自体が、政権の改憲への強い意向のなかで標的となったことが問題の核心だと訴えた。
 また、安倍政権のもとで立憲主義と平和憲法が空洞化されてきた危機にも触れながら、今日の混沌とした世界情勢の中で軍事研究の問題がさらに焦点化されるとして、上と下からの改憲の動きにも注目を促した。
 そのうえで、今後の展望として、平和勢力を下から構築することの重要性を強調し、「ミュニシパリズム」にも言及した。