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【三宮再整備の問題点(その2)】
三宮再整備の問題点(2) 熟年者ユニオン神戸支部学習会でのあわはら富夫神戸市議の解説要旨

2020/11/26
すでに解体の終わった神戸市役所3号館跡

熟年者ユニオン神戸支部が10月23日に開いた、久元神戸市政が進める「三宮再整備」の問題点を考える学習会で、あわはら富夫神戸市会議員(つなぐ議員団・新社会党)が行った解説と問題提起(要旨)の前号のつづきを掲載する。【編集部】

 
■多くの重大な問題点
①再開発の種地づくりのための公共施設再配置
②出発点だったJR三ノ宮駅ビル改築案が白紙・見直しへ(以上、前号)
③経済波及効果分析の問題点
*市が発表した経済波及効果は、確定していない民間投資約5千億円が前提となってはじき出されている。民間投資の額は、震災前の周辺ビルは2050年度までには建て替えとなることを予定してはじき出した金額だ。全投資額の3分の2にもなる不確定な金額を前提に経済波及効果を分析するのは乱暴だと言わねばならない。
*神戸市産業連関表に数字を当てはめて経済波及効果や雇用効果を分析しているが、その産業連関表は2011年のもの。約10年前の連関表でいいのかと検討委員会でも疑問の声があがっていた。
*人の動きをモデルゾーニングで予想する手法は神戸空港需要予測とほぼ同じ手法で、分析範囲をどこまでにするかで数値は大きく変わってくる。神戸空港では範囲を近畿圏に拡大したために、神戸市民よりも京都府や大阪市北部からの需要客数が上回るということが起こった。今回も、たとえば日常生活範囲を近畿全体に設定しており、滋賀県からの通勤者までが想定されてしまった。
*決定的な問題点は、コロナ禍前の経済波及分析であることだ。コロナ禍がいつまで続くのか、また、経済の落ち込みはどうなるのか、人々の生活パターンがどう変わっていくのか、まったく不透明なのに(議会では、さすがにコロナ禍後での分析の見直しを約束した)。
④神戸市財政への影響……市民サービスの低下にはならないか
*現状でも25年度までに神戸市一般会計で累積収支不足額が292億円になると公表され、事務事業の見直しが提案され、実行されている。最近では敬老パスなど優退乗車制度で母子や無料乗車券などが廃止されたのもその一環だ。
*コロナ禍で来年度の税収が150億円落ち込むことが議会でも明らかになった。それにコロナ対策など経費がかさんでくることが予想され、収支不足額はさらに膨れることが予想される。
*25年を前後して三宮再整備で約1100億円を超える市負担が生じる。さらに大阪湾岸道路負担での約400億円と、1500億円を超える事業費を市が単独で負担することになる。市債を発行して平準化しても、その負担が後世に残り、市民サービスが低下する。
⑤コロナ禍で生活様式や働き方などが大きく変化
*事務所は今でも飽和状態。これ以上の事務所機能は必要だろうか。にぎわい施設も企業の経済状況の悪化で投資を見込めるだろうか。
*また、ホテル業界などは今回のコロナ禍で一番ダメージを受けており、投資意欲に疑問符がつく。とくに新2号館などの事業の見直しが必要だ。
 コロナ禍の今こそ、一度立ち止まり、三宮再整備計画の見直しをするいい機会にすべきである。