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第5回大逆事件全国サミットin神戸の成功へ
プレイベントの講演会開催

2023/04/26
【写真説明】新宮市から辻本雄一さんを迎え熊野・新宮の大逆事件犠牲者について学んだ=3月26日、神戸市兵庫区

 今年5月27日に第5回大逆事件全国サミットが神戸市で開催されるが、そのプレイベントとして、 「熊野・新宮の『大逆事件』と熊野の人びとの『現代』」と題する学習講演会が3月26日、兵庫区文化センターで開かれた。
 主催したのは「大逆事件を明らかにする兵庫の会」で、新宮から大逆事件研究者の辻本雄一さんを迎え、いわゆる「紀州グループ」と言われる大逆事件の犠牲者をめぐって学んだ。新宮と熊野では大石誠之助をはじめ6人が大逆事件で逮捕され、全員に死刑の判決。判決の翌日3人に刑が執行され、3人が終身刑に減刑された。
 現在では大逆事件そのものが国家権力による大掛かりなフレームアップであったことは一致した見方である。それ故、新宮や高知県の中村(現四万十市)では大逆事件で有罪判決を受けた人々の名誉回復も行われている。
日清、日露戦争を経てアジアでの覇権拡大、軍国主義的強国を進める支配層にあって、批判勢力であった社会主義者や民主主義者、非戦を唱える反軍国主義者は許せない弾圧の対象であった。折しも、社会主義者たちに対して融和的だとして西園寺内閣を倒した桂内閣が誕生。反動的政策への転換を鮮明にするために大逆事件はいわば見せしめとしてしゃにむにでっち上げられたのであった。
起訴された26人のうち2人に有期刑、24人に死刑の求刑が行われ、異例の速さの審理を経て24人の死刑判決、翌日、恩赦と称して12人が無期刑に減刑、その約1週間後、死刑は執行された。起訴から刑の執行に至る異常な速さのうちに、この事件の異常な背景が浮き彫りにされている。
犠牲者を顕彰し、大逆事件の真実を明らかにする運動は各地で続けられ、隔年ごとに「大逆事件サミット」が開催されてきたが、今年の第5回サミットは、5月27日の14時から神戸市中央区の兵庫学校厚生会館で開かれる。神戸では岡林寅松、小松丑治(ともに無期懲役)と、2人の犠牲者を生んでいる。(津野)