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王子公園再整備市民ビジョン

2023/01/18
王子公園再整備計画
市民が対案を策定 「王子公園・市民ビジョン」発表
神戸市は100億円で用地売却を発表


 王子公園(神戸市灘区)の再整備計画をめぐり、一昨年12月の神戸市の再整備基本方針(素案)の唐突な発表以来、「王子公園の未来はみんなで決める」を合言葉に、素案の白紙撤回を求める署名を集め、また、市民が意見を出し合う「王子公園・市民ミーティング」の開催を5回にわたって重ねてきた「王子公園・市民ミーティング実行委員会」(事務局・こうべ保健サービス)。
 昨年12月11日、同実行委員会は動物園ホールで開いた市民ミーティング・パート5(「市民の創る王子公園ビジョン発表会&シンポジウム」)で、これまでの市民の意見を踏まえ、一級建築士ら専門家の協力も得ながら策定した略称『王子公園・市民ビジョン』(案)を発表した。発表された『王子公園・市民ビジョン』の基本方針の骨子は以下のようなものだ。
 第1に、市の再整備基本方針に対しては、①都市公園法の基準に基づく整備、②王子公園指定地の現エリアを減少させない整備、③同地区の歴史的履歴や地理的特色を損なわない整備を主張。
 第2に、王子公園の効用を全うするための公園施設(運動施設、教養施設、遊戯施設、修景施設)は、現在の施設位置で果される現機能の保全や性能の改善を旨とし、「管理・便益・休養」の諸施設は景観デザイン化を旨とする整備とする。
 第3に、公園来園者(家族連れ・学校行事・観光客等)の交通手段の利便性を向上させる整備。
 第4に、王子公園の諸施設ごとの整備策として、17項目を挙げ(左上図参照)、第5に、「王子公園のあり方検討会」(仮称)を設置し、市民の参画・協働にもとづく計画策定とする、である。
 同実行委員会は12月19日、この『王子公園・市民ビジョン』を、金丸正樹同実行委員会事務局長や小林るみ子神戸市議らが神戸市役所で記者発表するとともに、同日、神戸市に対してもこのビジョンについての要望を申し入れた。
 要望項目は、①広範な市民の危惧や疑問、批判の声にもかかわらず、情報公開も不十分なまま「再整備方針」を押し通し、大学公募に踏み切る拙速な政策執行をいったん凍結すること、②市民の意見やアイデアをくみ入れて策定した同会の『王子公園・市民ビジョン』を受け入れ、検討すること、③市民参画の場として「王子公園のあり方検討会」(仮称)を設置することの3点で、12月26日までに文書回答をすることを求めた。
だが、こともあろうに、久元神戸市長はその翌日の20日、大学誘致に関する公募要項を発表。大学誘致のための用地を100億円で売却することも明らかにし、21日から公募を開始した。市の計画では6月頃には大学優先交渉権者を決定するとしている。
 この再整備方針は2月13日からの2月議会で審議されるが、同実行委員会は当面、次のような行動などを予定している。
①『王子公園・市民ビジョン』のチラシ1万枚を作成し、会のホームページでの紹介とあわせて広く市民に知らせる。
②市会議員に公開質問状を送付し、公開する。
また、有志によるスタンディングも続ける。

【写真説明】(トップ)王子公園・市民ミーティング実行委員会が発表した『王子公園・市民ビジョン』
(文中)市民の手でつくった『王子公園・市民ビジョン』を発表する「王子公園・市民ミーティング実行委員会」=2022年12月19日、神戸市役所